風は蒼き光と共に 2
「もう一つの大事な仕事は、ここで僕のサポートをする事だよ」
通された広い部屋。
限られた者しか入る事が許されないエリアX。言わばエックスの自室だ。
外には広大な宇宙が広がり、眼下には地球が見える。
「僕は戦ってばかりきたからね、統治能力がなくて…君にサポートしてもらえれば助かるよ。 戦っていた時はこんな理想郷があればっていつも思ってたけど、いざ本当に国を興すとなるとね…想像と違って大変な事ばかりでさ」
エックスはこれからのプランを表示させた。
この国を統治していく為に行う様々なプロジェクト。
エックスを中心として四天王が君臨し、法律を司る8人の審官達やかつてのイレギュラーハンターのような警備組織。
またイレギュラー対策として四天王にはそれぞれ軍団を与え、有事の際には先陣をきって出動するようにとの指示だ。
「四天王っていってもまだ君だけなんだけど、他の3人ももうすぐ誕生する。ハルピュイアには四天王のリーダーを務めてもらいたい」
話は尽きる事なく遅くまで続いた。
ハルピュイアもだいぶ打ち解けてきたようで受け答えがスムーズになってきた。
エックスは付きっきりでハルピュイアに色んな事を教えた。
長い間生きてきたエックスの話はとても興味深く、時が経つのを忘れるほどだった。
ハルピュイアはエックスにどんどん惹かれていった。他のレプリロイドとは明らかに違う。それが何なのか分からないのが余計気になり、エックスへの興味は深まるばかりだ。
「あ、ごめん。エネルギーチャージするのも忘れてたね。少し休もうか」
「エックス様」
「ん?」
「休憩後、引き続きお話をお聞かせ願えますか。この国やあなた様の事をもっと知りたいのです」
「うん、もちろんだよ。あ、そうだ、まだ馴染めないだろうけど、ハルピュイアはこの国第二位の権力者となるんだ。君は落ち着いていて問題ないとは思うけど、それなりの態度、対応でね?」
「かしこまりました」
それがあんなに高飛車な性格になってしまうとは、エックスも予想外であったと後に苦笑した。
後日、ハルピュイアは戦闘訓練の為トレーニングルームにいた。
イレギュラーの処分も彼の大事な仕事である。
エックスが少々巌しい顔付きでトレーニングルームに入ってきた。
「ハルピュイア」
「はっ」
「これから君に渡すものがある。十の光る武具の一つ、ダブルセイバーだ。上手く使いこなしてくれ。力を引き出せなければ秘めた能力は発揮しない」
柄の部分のみのを二つ渡され、それぞれの手に持ってみる。不思議な力は感じるが、扱いがわからない。
「エックス様…これは」
「僕に聞くのはダメ。感じ取るんだ。でも、その為のサポートは行うよ」
そう言うと光輝くエックス。
光が収まるとそこにはフォームチェンジしたエックスが佇んでいた。
周囲がざわめく。
「あれが…伝説の蒼き英雄のお姿」
「僕のバスターの威力は自慢じゃないけど、気を付けてね」
「エックス様のバスターはご提供したはずでは…」
「そう、それは強化パーツが主。バスターはね…生みの親から託された大事なものだから。ノーマルの状態で残してあるんだ」
「それより、ハルピュイア」
ハルピュイアの顔の側をすり抜けていくエネルギー弾。
エックスは本気だ。
「そろそろお喋りは終わり」
構えるエックスの瞳はいつもと違っていた。今だけは主従関係はなしねと、こちらをキッと睨む。
「隠居して長い僕に勝てないようじゃ、軍団はおろか、イレギュラー討伐は任せられないよ」
データを計測している研究者達の方を向くとエックスは尋ねる。
「ねぇ、ハルピュイアには彼の身体能力及びセイバーを主体とした行動データ、そして僕の過去の戦闘データをサンプルとしてインプットしてあるんだよね?」
「はっ、はい!既に戦闘訓練も行っております。現在のところ行動力、判断力、分析力…全てにおいて問題はありません。ですが、まさかエックス様ご自身が相手をするなど…」
研究員の話を聞くと再び向き直る。
どこまで彼の能力を引き出してやれるか…
ハルピュイアは予想外の事態に戸惑いを隠せない。
ハルピュイアの性能ならば今のわずかな時間でターゲットの位置情報、戦闘能力は把握しているはずた。
「行くよ、ハルピュイア!」
3に続く
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最終更新日 2015年2月25日
SLOPPY GRAPHICA RIKU SAKUMA/REQ code:Anode
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