風は蒼き光と共に 5
その日の夜、エックスは以前からやってみたかったと「誕生日を祝うパーティー」を開いてくれた。人間は1つ年をとると生まれた日に家族や友人・知人たちとお祝いをするのだそうだ。
人間との境を無くしていこうとしているエックスらしい提案に、幹部の人間達が賛同し協力してくれたのだ。
「ファーブニル、レヴィアタン、ファントムの時もやろうね!」
上機嫌なエックスに
「一番嬉しそうなのはエックス様じゃないですか」と周囲一同から突っ込みが入る。
えへへと照れ笑いをすると満面の笑みでハルピュイアへ
「お誕生日おめでとう、ハルピュイア!それと…これからも宜しく頼むね!」
とウインクしてみせた。
先程の事を思い出し、ハルピュイアは顔を真っ赤にする。
「なんだぁハルピュイア、なんかあったのかよ」
待ってましたとばかりにファーブニルから茶々が入る。
うるさい黙れ と早速ケンカだ。
「またキザ坊やと戦闘バカがケンカしてるわ。いい加減にしなさいよアンタ達!」
せっかくの祝いの席でと2人を叱りつけるレヴィアタン。
それを見て微笑むエックス、ファントム、そして幹部達。
こうして楽しい夜はあっという間に更けていった。
パーティー終了後、自室に戻ったハルピュイアは先程の感情が何だったのかが理解できず、それが気になって眠れずにいた。
「俺は…エックス様の事をお慕いしている…それと"愛"と言う感情は別なのか?そもそも自分達レプリロイドにそんな感情が芽生えるものなのだろうか?? いや、そんな言い方をしたら先ほどのエックス様のお言葉を否定する事になってしまう…」
翌日エックスの前に姿を表したのは情けない顔をしたハルピュイアだった。
「え エックス さま お 俺は その いや、おはよう ございます」
「ど…どうしたんだいハルピュイア!?」
頭部から蒸気まで出ている。オーバーヒート寸前だ。
「"愛"という感情が理解できなくて 一晩中考えておりました」
そんな事だろうと思った とエックスが顔をしかめる。
「ハル!こっち来て!」
エックスは側に来たハルピュイアの服を引っ張り、ぐいっと顔を近づけ見つめる。
びくりと肩をすくめて一瞬で真っ赤になったハルピュイアを見てエックスは笑い出した。
「ふふっ 大丈夫、理解できてるよ」
こうして新たなパートナー同志となったエックスとハルピュイアは、その長く険しい道程を共に歩き始めた。
風は蒼き光と共に END
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最終更新日 2015年2月25日
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