I believe 後編


その日の夜。

『だからそっとしてあげなさいって言ったでしょ?これだから男ってやつは…』

「…だってさ。あんなの見てて黙ってられないじゃんか」

モデルLに注意され軽く落ち込むヴァン。

「あーー!!!もーどうすんだよーー!!こんなんじゃ戦いに行けないだろ〜」

その時モデルHがすっと浮かび上がる。

「どっ…どうしたんだよ急に?」

『彼女に話がある』

そう言うとエールの部屋へ向かったモデルH。

「なぁ、モデルHってさ そういうの詳しいの?」

『まぁ なんとも言えないけど。強烈だったとしか』



『エール、話がある』

「モデルH?私に話…って」


『もう少し、相手を信じてあげたらどうだ?』

「え…っ」

『俺も、昔似た経験をした。俺の愛するお方は皆を守る為自分の身を犠牲にし、俺の前から居なくなってしまった』

あの時の事を思い出す。
ジルウェは自分の命と引き換えに私達を生かしてくれた。
彼があの時助けてくれなかったら 自分達は間違いなく死んでいただろう。

「モデルHにもいたんだね、大切な人」
いつもは自分の事をあまり語ることのないモデルHだが、この時ばかりは話をしてくれた。
昔、おそらくは彼がレプリロイドとして存在していた時、何よりも大切な相手がいて日々その人の為に尽くしていたのだという。だがある日、悪いものを封印する為にと自分の体を差し出し…

『俺も悩んだ。時には恨み辛みを言った事もあった。一晩中泣いた日もあった。でも俺は信じていた。俺とあのお方は固い絆で結ばれている…
自分を裏切るなど絶対にないと』


「それで…どうなったの?」

『後に…再会する事が出来たよ。気持ちは確かなものだった。俺は僅かでも弱音をはいた事を恥じた。 エール、今彼と会う事は不可能だ。彼の口から直接気持ちを確認する事は出来ない。 それ故不安になる気持ちもわかる。もどかしい気持ちもわかる。しかしそこで相手に不満をぶつけるのは間違いだ。
するべき事は相手を想い敬う事、信じる事だ』


「信じる…」

『そう…信じる。エール、あの男から伝言だ』

「モデルZ!?」

突然現れたモデルZ。
そう、モデルZはジルウェを適合者と認識し一緒に戦ってきた存在。
今ジルウェの事を一番知っているのはモデルZだと言っても過言ではない。

『お前を大事に想う気持ち、俺にも痛いほど伝わってきていた。そう不安がる事は無い』

「ジルウェ、何って言ってたの…?」

『俺に独り言のように彼は言った』


―いつか、あの2人には本当の事を話さなければならないだろう。
適合者保護とは言え、俺達がしていた事は相手に対して失礼だ。
罵られても蔑まれても俺は平気だ。
でも彼女に…エールに嫌われてしまうのは、正直怖い。
こんな状態で想いを伝えても、彼女は信じてくれないかもしれない。
でも俺はエールの事信じようと思う。
彼女は…俺の本当の気持ちに気付いてくれると。
そしていつかこの世界に平和が戻ったら その時は―


初めて聞いた、彼の本当の気持ち。

確かに今まで、ジルウェからのアピールはあった。自分もそれは嬉しいと感じていた。しかし、事件に巻き込まれ色々な事実を知ってしまってからは疑心暗鬼になっていた。

申し訳ないと思った。
こんなふうに疑ってしまった事、出来る事なら直接謝りたいと思った。

『エール、彼の事を信じてやれるか?』

「うん。ありがとうモデルZ」

『彼の想い、命、無駄にしてはいけない』

「わかってるよ、モデルH」


涙を拭い、立ち上がるとヴァンのもとへ

「ヴァン!!早くセルパンをブッ倒してやろうよ!!!」

「いぃ!!??どうしたんだよ急に!?」

「明日は支度するからね!!早く寝なさいよ!!寝坊したら許さないんだから」

「なーーーー!!?何なんだよホントに〜〜」

笑いが込み上げる。やっと蟠りが一つほどけた。

エールの表情にはもう迷いは無い。素直に心の底から笑う事が出来た。


信じる事

それは、相手を思いやる事

それは、相手を敬う事

それは、相手を愛する事


その意味を理解した時、
人は自分が持てる最大の力を極限まで引き出すことが出来る

心はいつも あなたの側に


「ジルウェ、私 負けないから!!」

終わり


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最終更新日 2015年2月25日
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